阪急電車

阪急320形電車

投稿日:

阪急320形電車, by Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki?curid=697331 / CC BY SA 3.0

#阪急電鉄の電車
#1935年製の鉄道車両
#川崎重工業製の電車
阪急320形電車

阪急320形電車(はんきゅう320がたでんしゃ)は、かつて阪神急行電鉄及び京阪神急行電鉄(ともに現在の阪急電鉄)に在籍した小型の通勤形電車である。宝塚線の急行の梅田 - 宝塚駅間33分運転開始に際し、宝塚線では1921年の51形63 - 66以来14年ぶりの新車として1935年に12両が製造された。

本形式は1935年3月に320 - 331の12両が神戸の川崎車輌で製造された。

外観は先に神戸線に登場した900形を宝塚線向けに小型化したスタイルで、基本的なデザインは引き続いて増備された380形、500形に受け継がれ、戦後の1948年に運輸省規格型電車として登場した550形も含めて宝塚線小型車グループを構成することとなった。

なお、本形式の製造を開始した1934年に宝塚線への大型車投入が検討されたが、当時の宝塚線の輸送状況から大型車の投入は見送られることとなり、1952年の車両規格向上工事完成による810系及び600形の入線まで小型車の増備が続けられることとなった。

車体は前述のとおり900形を宝塚線向けに小型化した軽量構造の全鋼製車体で、車体長は約15m、車体幅は約2.35mである。

側面窓配置はd1(1)D6D(1)1d(d:乗務員扉、D:客用扉、(1):戸袋窓)の両運転台車で、段つきのウインドシルも900形を引き継いでいるが、客用扉間の窓数は車体長が短いことから、900形に比べると2枚少なくなっている。

妻面は900形同様中央に貫通扉を配した3枚窓で、運転台側幕板部に行先方向幕、助士台側幕板部に尾灯を配しているのも900形と同じである。ただし屋根は900形に比べると浅くなっているが、中央にガーランド型通風器を1列4基配し、その左右にランボードを巡らせているのは通風器の個数が違うとはいえ900形と同じである。

座席は900形と異なりロングシートであるが、袖仕切の形状は900形や同時期に製造された920系に比べて丸みが大きいものになっている。

主電動機はゼネラル・エレクトリック社製GE-263のスケッチ生産品である芝浦SE-107を吊り掛け式で4基搭載し、制御器は電空カム軸式のPC-5であった。歯車比は51形75以降や300形310 - 319と同じ28:58(1:2.07)で、高速性能を重視したものとなっている。

台車は川崎車輌製K-12で、これはボールドウィンBW-78-25AAのデッドコピー品であった。

ブレーキは当初よりM三動弁を使用するAMM自動空気ブレーキが採用されており、最大5両編成が可能となり、戦後の輸送力増強期に威力を発揮した。

なお、翌1936年以降に増備された380形や500形は性能的には300形300~309に準拠したものであり、51形ベースの本形式とは主電動機特性などが異なる。そのため、当初はこれらの形式との併結及び共通運用はできなかった。

純然たる宝塚線向けの新車としては1形以来となる本形式は、当初の予定通り急行運用に投入され、梅田 - 宝塚間33分運転を開始した。1基当たりの1時間定格出力が82kWの電動機を搭載した380形や500形に比べると低いものの、電動機を全軸に装備したことから2基搭載の380形や500形に比べると1両当たりの出力は高くなり、梅田駅を同時発車する神戸線の900・920系に引けをとらない加速ぶりを示すことがあった。

1939年には前照灯にフードを取り付けるなどの灯火管制工事を実施したが、太平洋戦争末期の空襲にも大きな被害を受けることなく終戦を迎え、戦後まもなく灯火管制用のフードなどが撤去された。1947年には歯車比を51形51 - 74と同じ24:62(1:2.58)に変更されて、1941年に同様の工事を実施された51形75以降のグループと同様、性能面では本形式と51形全車両が同一水準となった。

本形式は、宝塚線とその支線である箕面線で2両から4両の範囲で編成を組んで運行されていた。しかし、1952年3月15日に実施された梅田 - 池田間及び箕面線内の大型車両運転開始の前に、神戸線から転入した600形や新造の810系と入れ替わる形で両端に本形式を置き、中間に51形の制御車である81 - 86を組み込んだ3両編成×6本を組成して、全車今津線に転出した。このときにドア部分にステップを取り付けたことから、車体幅が約2.69mに拡大されている。その後1954年と1955年には51形の610系への機器流用に際し...

-阪急電車
-, ,

Copyright© 阪急電車の話題 , 2024 All Rights Reserved.