阪急電車といえば、栗のマロンから名付けられたともいわれる「マルーン色」の車両。1910年の創業当時から沿線の人々に愛されてきたことが評価され、10月にグッドデザイン・ロングライフデザイン賞に選ばれました。
この受賞を受け、阪急電鉄は普段車両のメンテナンスをしている大阪・摂津市の「正雀工場」を報道陣に公開。阪急電車のデザインを受け継いできた「舞台裏」にカメラが潜入しました。
補修のために整備工場に入った車両は一度塗装がすべてはがされ真っ白に。
小石などで傷ついた部分があれば、白いパテで4~5日かけて埋めていきます。
(記者リポート)「今塗装ブースに運ぶため、車両を持ち上げています。ふだん見ることができない車両の真下を見ることが出来ます。大迫力です」。
車両の重さは約20トン。クレーンゲームのように持ち上げて次の工程に移ります。
続いては塗装作業。専用の機械で一気に「マルーンカラー」に塗り直します。
そしてできあがった塗りたての車両、レトロで上品な阪急電車カラーに仕上がりました。車体の凹凸を細部まで手作業で埋めることで、この輝きが実現しているんだそうです。
工場の隣にある車庫には歴代の車両がズラリと並んでいました。
初期の車両は木製で、中にはゴールデンオリーブ色の座席があります。こちらも創業当時から変わらない伝統の色です。
今回は特別に、座席を作る作業を見せてもらいました。テレビ初公開です!
「モケット」と呼ばれる生地を座席に貼り付けていきますが、そのほとんどが手作業です。
何度座ってもシワにならないよう、ひとつひとつ丁寧に作っていきます。一人前になるには、約5年間の修行が必要なんだとか。
伝統を守り続ける姿勢に職人の工夫やこだわり。
車両整備に携わる全ての人の技と思いによって、快適な乗車環境が実現できているんですね。