阪急電車

阪急電車 100年以上前の「1形電車」 伝説の名車を特別取材 車内にはシャンデリア、木の鎧戸、明り窓

投稿日:

阪急電車1型にタイムスリップ

鉄道の魅力を熱くお伝えする野川キャスターの「てつたま」です。

【野川アナ】
今回も引き続き阪急電鉄でございます。
これまで『2300系』、そして『プライベース』と最新鋭の車両を取材してきましたが、今回は阪急の歴史を彩った名車が登場します。
それでは、出発進行!

【阪急電車館館長】
「ここはよその電車とは違うよ。車両とは違うよ。というのがあって阪急はプライベース」

前回は去年7月に導入された阪急電鉄初の有料座席指定サービス、プライベースの車両に乗車。
至れり尽くせりの阪急・おもてなしの精神を体感しました。
今回は阪急電鉄正雀車庫のピットへと向かいます。
その奥に鎮座していたのが…

【阪急電車館館長・野川アナ】
「ちょっと伝説の名車たちじゃないですか」
「そうなのですよ。歴史上の節目になる貴重な車両…それを大事に保管していると」
「でもやっぱり今の阪急電車に通ずるものを感じますよね」
「そういう基礎になるものをぜひ今日は見ていただいて」

正雀車庫には、阪急の歴史を切り開いてきた5つの名車が当時の姿に復元され、保存されています。
一般公開はされていませんが、今回特別に取材させていただけることとなり、その中で最も古い車両が1形電車です。
製造されたのは100年以上前というから驚きですね。

【阪急電車館館長・野川アナ】
「この車は見ていただくと、ここ鉄板を貼ってあってですね…本当は木造車なのですけど」「途中で改造が加わったということですかね」
「安全基準とか色々ございましてですね」
「1形の電車にしてこの色な訳ですよ」
「マルーンはマルーンで登場していますので」
「ですから、1形ってことはあの箕面有馬電気軌道時代」
「さすが!よくご存じ」
「いやいやいやいや、もう愛だけで生きております。いやー、すごい。でもこの窓枠なんかね、もう木製で」
「ニス塗りでそれも阪急電車の特徴。ですからその後の電車もニス塗りで。阪急電車のパターンではあるんですね」
「はー」
「では、せっかくなんで1形にタイムスリップ」
「お!」
「行ってみよう!」

現存する1型電車は1910年製造。
引退後に1927年、昭和2年当時の姿に復元されたものなんですね。

【阪急電車館館長・野川アナ】
「すごいですね」
「外見とは違い、割とその創業時の面影を残しています。っていうのはシャンデリアであったり、それからこれ、明り窓」
「そうですね、光がこう入ってくる用の」
「だから車内がですね、結構明るく」
「なんだか鉄道の車両にこんなこと言うのもちょっと変ですけども、館長。アットホームな感じがするということですかね」
「そうです、もともとの思想が家の中に居るような安心感を車内で味わえるのが阪急電車の特徴。例えば、その木目の車内。で、オリーブのシート。ソファーに座ってゆっくり家でくつろいでいるような感じを電車でも味わえる」
「もう(製造されたのは)確か100年以上前ですよね」
「はい」
「車体の色はマルーンですし、中を見ると座席の色も、オリーブ色の座席ですし。木製の車両ですから当然といえば当然ですが、木目の壁になっている。これですから、3種の神器。
これが本当にこの最初の、最初のこの1形の電車から」
「そうです、まあ根強くこう、ポリシーというかね?守り続けている1つの阪急というブランド」
「いやまさにブランディングですよね」

さらにこの車両には、こんな装備もついていました。
木製の鎧戸です。

【阪急電車館館長・野川アナ】
「これはちょっと手前に引きながら乗せると、引っかかる様になってる」
「あ!もう重さは大人であればちょっとこう、『よし!』って力を入れれば上がる位ですが…」
「手前に引いてもらうと乗ります」
「あ、これで固定される」
「そうそう」
「なるほど」
「昔は車掌が車内に乗ってまして、なんか日が差してきた時には車掌が上げて回ると。
こういうところも、『おもてなしの心』っていうのも、僕らの時代でもそういうのは結構、言われましたね、先輩から。あと、これの役割はもう一つございまして、なんだと思います?」
「え、何でしょう?」
「あの台風とか暴風雨の時には車掌が車内入って、僕らもそうなんですけど、当時は全部(鎧戸を)あげていくと。ものが飛び込んできたときも、これが、鎧戸がカバーしてくれる」

そして最後に運転台へも案内してもらいました!

【阪急電車館館長・野川アナ】
「どうぞ!」
「よろしいですか?1形電車の運転台ですよ。立って運転をされていたということなんですかね?」
「そうですね、基本は路面電車がもともと基礎なんで。立って運転するスタイルですね。
狭いでしょ。運転台」
「狭いですね。当時の方の体格なんかもあるんでしょうけど」
「そうなんですよ。なんかやっぱり時代を感じるものがあって。まあでも基礎は、阪急の基礎はここ(1形)で感じていただけたかなと」

900形電車は1930年に登場

続いては900形です。
1930年に神戸線の特急車両として登場し、大阪・神戸間を25分で運行。
その後、現在に至る阪急の車両設計の基礎になった、まさに阪急を代表する車両のひとつです。

【阪急電車館館長・野川アナ】
「電車として最後まで活躍したときには、もうこういう感じではなかったんですよ。
復元したんですね。要はデビューした時のスタイルに復元をしたと。ちょっと特徴的なのは、前を見て頂いて。1、2、3段あります。これ、アンチクライマーといって、車でいうバンパー。非貫通の『805』、『806』っていう車のアンチクライマーを残してまして、それを使って(復元)っていうことで。実際の実物はこのアンチクライマーは3段ですけど。4段」
「なるほど、ここはちょっと違いが出てる」
「細かくよく知っている人は、その辺も気づいておられると思います」
「うわぁー。これちょっと知っておくとニヤニヤできる豆知識ですね」

主力車両として阪急で一時代を築いた900形の車内へ…

【阪急電車館館長・野川アナ】
「車端部はロングシートになってるんですけども、中央部はクロスシートですね」
「これ転換クロスシートですか?」
「そうです、転換です。どうぞ、お掛け下さい」
「いいですか?ありがとうございます。浸っていたいです、この空間に」
「なかなかいいでしょ。なんか応接室にいるような感じの、そういう雰囲気がこの車両はすごくあって僕は好きなんですけど」
「本当に原点ね。車両は変わっていきながらも、大事にしてる部分は変わらないんだなっていうのを感じます」
1形電車から20年後に登場。
スピードが格段に上がった900形の運転台は…

【阪急電車館館長・野川アナ】
「お!1形からね、時代経ってますけど、ここ一応、窓ガラスが…」
「ガラスが入りまして、他はそのまま、はい」
「この時代もまだ立って運転していたんですかね」
「最初の頃は、初期の頃は(座席は)無かったと聞いています」
「さっきの1形もそうですが、スピードメーターなかったのですか?」
「そうですね、スピードメーターは昔なかったので、目測というか、運転士は電柱50mの間を何秒で走るか計算しながら、体で体得して。僕らが運転士になった時には、指導員についてくれた人なんかは枕木の流れる速度で(電車のスピードが)大体わかるっていう」
「えー!」
「ベテランから、そういう教え方されましたけど」
「それは本当に職人芸という…」
「そうですね」

そして、てつたま阪急シリーズは次回で最終回。

【阪急電車館館長・野川アナ】
「ここ見てください。枯山水ですね」
「枯山水」
「いいですねー」

春の行楽シーズンにぴったり、観光特急に…

【野川アナ】
「緑のモフモフっとしたものがグルグル―っと…おっ、おっ、おっ!」

そして最後は特別な体験が私を待っていました。

-阪急電車

Copyright© 阪急電車の話題 , 2025 All Rights Reserved.