阪急電車

阪急3300系 3328F 準急 大阪梅田行き

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阪急3300系電車(はんきゅう3300けいでんしゃ)は、1967年(昭和42年)に登場した阪急電鉄の電車(通勤形電車)である。大阪市営地下鉄堺筋線への相互直通運転用として、阪急と大阪市交通局の協議の上で設計された。

地下鉄堺筋線開業および大阪万博開催に合わせて1967年から1969年(昭和44年)までの短期間に120両が製造され、1979年には付随車6両が増備された。神戸線向けの5000系と同時期に登場し、車体各所の設計が共通していることから、本形式は5000系の京都線仕様に相当する。

車体寸法は従来の阪急標準車体より幅が100mm広くなり2,800mmに、長さは100mm短くなり18,900mmとされた。この寸法は乗り入れ先の地下鉄堺筋線用60系と同様のものである。神宝線へは車体幅が車両限界に抵触するため、入線不可能である。

車体寸法の協議の際、阪急は外板幅2,700mm、車体長18,300mm、連結面間19,000mmの阪急標準車体を、大阪市は外板幅2,800mm、車体長18,000mm、連結面間18,700mmの地下鉄標準車体をそれぞれ主張した。幅については、大阪市は車体幅の広いP-6の走る路線への直通であると指摘し、また阪急側も神戸高速線より直通する2,780mm幅の山陽電鉄車両の受け入れもあり、阪急標準車体を断念して外板幅2,800mmとすることになった。長さについても折り合いがつかず、阪急標準車体より100mm短い寸法とされた。

正面は交通局の要請から前面左側窓上に小型の手動式方向幕が設置され、標識灯は左右とも外側に寄せられた。手動式方向幕は原則として堺筋線直通列車の運用のみに使用され、阪急線内運用では、従来車同様に運行標識板を使用した。ただし、「梅田」のコマも用意されていたため、装飾の関係で標識板が取り付けられなかった梅田駅2・3号線の完成時の祝賀列車や、標識板が何らかの事情で不足した時の普通列車など、線内列車で散発的に手動式方向幕が使用された例があった。

側窓は下降窓の開口高さを床面から1,200mmに抑え、車両限界の狭い地下鉄線で必要な保護棒を省略した。非常時の正面からの脱出の妨げにならないよう、前面貫通扉と乗務員室仕切り扉の開閉順序が逆になった。

乗務員室は、保安装置の搭載数増加により客室側に100mm拡大され、1,150mmとなった。窓の寸法にも変更があり、3000系では窓幅800mm・間柱180mm・戸袋部800mmであったものが、3300系では窓幅810mm・間柱170mm・戸袋部765mmとなっている。

乗務員室仕切り壁の車掌台側の窓にはガラスが設置され、車内放送の共鳴防止を図った。車掌スイッチは従来の阪急方式から地下鉄方式の押し棒式になり、取り付け位置も低い位置に変更され、乗務員室側扉の開き勝手も従来と逆になった。

主要機器
電動車はMM'ユニット方式を採用した。地下区間での故障時推進が行えるよう、電動車の比率(MT比)が高く取られ、主電動機1台あたりの出力は130kWに下げられている。駆動方式は中空軸平行カルダン、歯車比は京都線標準の5.25である。定格速度も低めの設定だが、弱め界磁制御範囲が広く高速運転も可能である。5300系以降の車両とは異なり、地下区間での加速度切り替えは行わない。

主制御器は東洋電機製造製のES583形で、Mc車の3300形に搭載する。3300系の形式番号に合わせて、主制御器の外形全長が3300mmとなるよう設計された。

台車は乗り心地向上を目的として阪急初のS型ミンデン空気バネ台車を採用し、M車はFS369、T車はFS069を装着した。電動・付随台車とも車輪径は860mmで一体圧延車輪を採用、基礎ブレーキは片抱き式、空気ばねの有効径は480mmである。この台車は神戸線5000系でも使用され、以後の新造車でも改良を加えながら8000系・8300系まで採用が続いた。

運転台は主幹制御器とブレーキハンドルが個別の2ハンドル車であるが、堺筋線内で運転士が駅出発時に警笛を使用する関係上、電気笛が標準装備されている。

ブレーキシステムは初代1300系以来採用されている発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキである。

形式
新規製造形式
3300形(3301 - 3348、48両)
大阪梅田・天下茶屋方を向く制御電動車。パンタグラフと制御器を搭載し、3400形または3800形とユニットを組む。中間車化された車両も存在し、中間車化の上電装解除された車両は後述の3890形に改番されている。下記編成図ではMc、またはMo(中間車化改造車)と表記。新形式呼称では、Mc3300形(運転台撤去車はM3300形)と表記。
3350形(3351 - 3368、18両)
京都河原町・北千里方を向く制御車。3両が中間車化されている。下記編成図ではTc、またはTo(中間車化改造車)と表記。新形式呼称では、Tc3350形(運転台撤去車はT3350形)と表記。
3800形(3801 - 3818、18両)
MGとCPを搭載し、3300形とユニットを組む中間電動車。下記編成図ではM’と表記。新形式呼称では、M3800形と表記。
3400形(3401 - 3430、30両)
京都河原町・北千里方を向く制御電動車。1969年製造分のみ。MGとCPを搭載し、3300形とユニットを組む。後述の連結解放運転案に基づいて製造されたため、当初から中間に組み込まれていた車両が多く、冷房改造時に大半の車両が中間車化された。電装解除され3390形に改番されたものも3両存在し、1両のみ中間車化後に電装解除され3890形に改番されている。現在も運転台を残しているのは6+2両編成の2両側を組成するための3両のみ(2016年に3426が廃車された為、以降は3425・3427のリニューアル車2両のみ)であり、営業運転で先頭に立つ機会はない。下記編成図ではM'c、またはM'o(中間車化改造車)と表記。新形式呼称では、Mc3400形(運転台撤去車はM3400形)と表記。
3850形(3851 - 3861〈奇数番のみ〉、6両)
付随車。下記編成図ではTと表記。初期に製造された4+3両編成の4両側にのみ組み込むため、奇数番号のみが製造された。後に付随車が増備された際は別形式の3950形となったため、結果偶数番号は欠番のままになった。新形式呼称では、T3850形と表記。
3950形(3951 - 3956、6両)
1979年に追加製造された付随車。上述の通り5300系の中間付随車5850形と同様の車体を持つ冷房準備車として製造され、新製時から車体に冷房風洞が組み込まれていたため車高が通常の3300系より高い。新製時のモニター屋根も通常の3300系中間車のものとは違い、少し高く屋根全長より短いものだった。また、台車の形状や車側表示灯の位置も通常の3300系とは違い、5300系に準じたものになっている。下記編成図ではTと表記。新形式呼称ではT3850-1形となり、3950番台ながらもT3850形のグループ扱いとなった。
改造・改番形式
3350形(3390番台:3391 - 3393、3両)
3400形を電装解除した制御車。下記編成図ではTcと表記。新形式呼称では、Tc3350-1形と表記。
3850形(3890番台:3891 - 3895、5両)
3300形、3400形を運転台撤去、電装解除した付随車。運転用機器が完全撤去されている。下記編成図ではTo(3300形改造車・菱形パンタグラフも撤去)、T'o(3400形改造車)と表記。旧運転台の向きは、3400形から改造の3895のみ京都・北千里向き、3300形から改造の3891~3894は大阪梅田・天六(天下茶屋)向きである。新形式呼称では、向きを問わずT3850-2形と表記。

製造
当初は、堺筋線への直通運転の詳細が未確定なこともあり、暫定的に本線の急行など優等列車用としてMT比4M3Tの7両編成(Mc-M'-T-Tc+Mc-M'-Tc)で落成した。車両番号の下1桁をそろえるため、付随車の3850形は偶数番が欠番となっている。

直通運転の計画が明らかになり、阪急側は5両編成14本を用意することとなった。地下線内の故障列車の救援推進を考慮し、協定により編成内の3分の2を電動車とするため、5両編成ではユニットの関係から4M1Tとなった。

自社線内のダイヤ検討の過程で高槻市駅で5両編成+2両編成の連結解放を行う案が浮上し、その対応のために当初計画のなかったMc'車を製造することになり、3400形が登場した。3400形の形式は神戸・宝塚・京都方の先頭車に100番を加えるきっかけとなった。

3400形は増備が続けられ、4M1Tの5両編成に組成変更された。一部の編成では、しばらく6M1Tの7両編成で本線急行に使用された編成も存在した。連解運用を考慮して3332 - 3348と3408 - 3424の34両に自動式の密着連結器を装備したが、結果として連結解放運転は実現しなかった。

1979年(昭和54年)には、堺筋線の6両編成化を目的として付随車6両が追加製造され、3308F、3310F、3312F、3313F、3314F、3316Fの6本に組み込まれた。車体は当時増備中の後継の冷房車5300系に準じ、断面形状が若干異なるものの、5300系の5850形と同一とした。冷房装置は搭載せず準備工事車として竣工し、車両形式も3950形となった。

天井見付は従来の車両とは大きく異なり、平天井部に当時冷房改造が進行中であった2300系などから流用した丸形のファンデリア(換気装置)が並ぶ独特のタイプである。

ウィキペディアより
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